前の章で、100人のうち75人が総合型の転職エージェントを使っていたことをお伝えしました。
この章は、使うと決めたあとの話です。どこを使えばいいかではなく、どう使えばいいかを扱います。どこを使ったかは元アパレル販売員100人が使った転職サービスにあります。
エージェントを使うときの流れ
登録してから入社まで、だいたいこう進みます。
このうち、あなたが自分でやる必要があるのは、話すことと、選ぶことと、面接を受けることです。それ以外の手続きは、担当者に任せられます。
面談の前に、持っていくもの
最初の面談で、いちばん差がつくところです。
当サイトの取材でも、エージェントから言われたのは書類の書式ではなく、何を書くかでした。売上実績を明確に書くこと。チームへの働きかけと、それが実績にどうつながったのかを、定量でも定性でもいいので書くこと。
教えてもらえるのは書き方であって、書く材料ではありません。 材料を持たずに面談に行くと、話が進まないまま終わります。
持っていくものは、この4つです。
1. 何を取り戻したいか
休みなのか、お給料なのか、この先の見通しなのか。ひとつに決めて、言葉にしておきます。 ここが決まっていないと、担当者は何でも紹介するしかなくなります。考え方はアパレル販売員を辞めたいの第1節にあります。
2. 手元の数字
個人売上、予算達成率、客単価、店舗の年商とスタッフ数、育てた人数。思い出せるものだけで構いません。集め方は職務経歴書ガイドの第2章にあります。
3. 譲れない条件と、譲れる条件
- 譲れない:年間休日の下限、土日休みかどうか、通える範囲、年収の下限
- 譲れる:業種、会社の規模、職種の名前
譲れない条件は、3つ以内に絞ってください。 多すぎると、紹介される求人がほとんど無くなります。
4. 職務経歴書の下書き
1ページでも、箇条書きでも構いません。下書きがあるだけで、面談の話が具体的になります。 担当者は、その下書きを見ながら直し方を教えてくれます。
最初の面談で伝えること
- 何を取り戻したいか(上の1)
- 辞めたい理由。言い換えずに、事実の順に話します。話し方は面接ガイドの第2章と同じです
- 希望しないこと。「立ち仕事はもう避けたい」「シフト勤務は続けたくない」など
- 転職したい時期。すぐなのか、半年以内なのか、まだ迷っているのか。正直に伝えて構いません
- 他のエージェントも使っているか。伝えても不利にはなりません
まだ迷っている、と伝えるのは大丈夫です。 迷っている人の話を聞くのも、担当者の仕事のうちです。
紹介された求人は、断っていい
紹介は、あくまで提案です。全部に応募する必要はありません。
合わない求人は、理由を添えて断ってください。 「土日休みではないので」「通勤が1時間を超えるので」。理由を伝えるほど、次の紹介が合ってきやすくなります。
一方で、範囲を広げて応募する進め方もあります。当サイトの取材で、副店長から人材業界に移った方は、業界も職種も絞らず、紹介された求人に「とにかくどんどん数打っていく」進め方でした。結果として、人材・SNSマーケティング・広告代理店の3つの領域から内定が出ています。
絞る進め方も、広げる進め方もあります。 決めるのはあなたです。ただ、どちらにするかを担当者に伝えておくと、紹介のされ方がそろいます。
急かされても、判断を預けない
ここは、正直に書いておきたいところです。
副店長だった方は、エージェントの面談のたびに、こう言われていたそうです。
何歳までが最後ですっていうのが
本当に急いでやらないと本当に年取るだけだから
本人は、その言葉を受けて「今が最後」と感じていました。けれど振り返ると、その実感のかなりの部分は、転職を勧める側から繰り返し届いた言葉から来ていました。
第3章で書いたとおり、多くのエージェントは採用が決まると報酬が出る仕組みです。担当者に悪意があるわけではありません。ただ、早く決めてもらう理由がある立場だということは、知っておいて損はありません。
- 期限を区切られたら、自分の生活の事情で決めた期限と比べる
- 「この求人はすぐ埋まります」と言われても、条件の確認を飛ばさない
- 内定の返事は、数日待ってもらうよう頼んでいい
年齢で線を引く言い方については、アパレルからの転職は、年齢で何が変わるのかでも扱っています。早く動くほど選べる幅が広がるのは事実ですが、それは締め切りとは違います。
担当者が合わないとき
担当者は、こちらから選べないことがほとんどです。合わないと感じることもあります。
- 話を聞いてもらえない。希望と関係のない求人ばかり届く
- 連絡が多すぎる、あるいは少なすぎる
- 急かされる
そういうときは、
- 希望をもう一度、言葉にして伝える。紹介がずれているのは、伝わっていないだけのこともあります
- 担当の変更を申し出る。問い合わせの窓口を設けているところもあります
- 別のエージェントも並行して使う
担当者との相性で、転職そのものをあきらめる必要はありません。
何社使うか
当サイトの100人調査では、使ったサービスの数によって、年収が上がった人の割合が違いました。
| 使った数 | 人数 | 年収が上がった | よかった |
|---|---|---|---|
| 使わなかった | 11人 | 4人 | 6人 |
| 1つ | 47人 | 34人 | 30人 |
| 2つ | 19人 | 13人 | 13人 |
| 3つ以上 | 23人 | 20人 | 16人 |
ただし、これは「たくさん使えば年収が上がる」という意味ではありません。 たくさん使った人は、そもそも活動量が多い人だった、という可能性もあります。この調査からは、どちらなのかを分けられません。
言えるのは、使わずに進めた人は、年収が上がった人が少なかったということまでです。
数を決めるときは、こう考えると迷いが減ります。
- 1つで始めて、紹介が合わなければ増やす。連絡の手間が少ない
- 最初から2つ使う。紹介の幅が広がり、担当者を比べられる。その代わり連絡は倍になる
働きながらの場合、連絡を返す時間も活動の時間のうちです。第2章を参考に、無理のない数にしてください。
内定が出たら、担当者に頼めること
自分では言い出しにくいことを、間に入って確かめてもらえます。
- 年収の内訳(月給、賞与、残業代の扱い)
- 入社日。いまの職場の退職日に合わせて調整してもらう
- 条件の交渉。希望がある場合は、根拠と一緒に伝えます
承諾の前に条件を書面で確かめる手順と、突き合わせる項目の一覧は、第6章にあります。
この章のまとめ
- エージェントを使うと、手続きは担当者に任せられる。あなたがやるのは、話す・選ぶ・面接を受けること
- 面談には4つを持っていく。何を取り戻したいか、手元の数字、譲れない条件(3つ以内)、職務経歴書の下書き
- まだ迷っている、と伝えていい
- 紹介は提案。理由を添えて断っていい。絞るか広げるかは自分で決める
- 担当者には早く決めてもらう理由がある。急かされても、判断を預けない
- 担当者が合わなければ、伝え直す・変えてもらう・並行して使う
- 使った数と年収には関係が見えるが、因果は分からない。無理のない数で
次の章では、求人の探し方と、応募の数を扱います。