ガイド / 異職種・異業界に移るとき

VOL.4 第5章 / 全5章

しんどくなったとき

移ったあと、しんどくなるのは珍しいことではありません。

当サイトの100人調査でも、アパレルを離れてよかったと答えたのは65人でした。残りの35人のうち、25人は「どちらともいえない」、10人は「そう思わない」と答えています。移った人の全員が、晴れやかになったわけではありません。

この章では、しんどくなったときに、続けるか、辞めるかをどう考えるかを扱います。

先に、2つのことを書いておきます

ひとつめ。早く辞めすぎると、次の転職で不利になることがあります。

職務経歴書に、短い在籍がいくつも並ぶと、採用する側は「うちに来ても、また短く辞めるのではないか」と心配します。面接ガイドの第1章で書いたとおり、面接でいちばん確かめられていることのひとつが、「また辞めないか」です。1回の短い在籍は説明できても、それが続くと、説明が難しくなります。

ふたつめ。それでも、無理をして続けてはいけません。

心や体を壊してしまうと、回復に時間がかかります。そうなると、次の仕事を探す力そのものが失われます。職務経歴書の短い在籍は説明できますが、壊した体は、すぐには戻りません。

この2つは、矛盾しません。 大事なのは、しんどさの中身を分けて、それぞれに合った手を打つことです。

しんどさを、3つに分ける

しんどさの中身 どういう状態か 取る手
心と体 眠れない、食べられない、朝起き上がれない、涙が出る 続けるかどうかより先に、休む・相談する
慣れ 分からないことが多い、手応えがない、疲れる 時間が解決する見込みがある。最初の3か月は続けて様子を見る
合わない構造 仕事の中身や会社のやり方が、聞いていた話や自分の軸と根本から違う 社内で変えられないか試す。それでも無理なら、次を考える

1、心と体に出ているか。出ているなら、続けるかどうかより先に、休む・医療機関・相談窓口。2、慣れの問題か。それなら最初の3か月は様子を見る。3、社内で変えられるか。上司に相談し、担当や配置、業務量を聞く。4、それでも無理なら、何がずれていたかを言葉にして、在職中に次を探す。

心と体に出ているなら、それが最優先

上の表の1行目に当てはまるなら、ほかの2つを考えるより先に、体を守ってください。

ここで「職務経歴書に傷がつくから」と我慢する必要はありません。体を守ることのほうが先です。

慣れの問題なら、時間を味方にする

分からないことが多い、手応えがない、毎日がとても疲れる。移ったばかりなら、それは慣れていないだけかもしれません。

第4章で書いたとおり、最初の数か月は、できない側にいるのが普通です。慣れの問題で辞めてしまうと、次の職場でも、同じ時期がまた来ます。

だから、慣れの問題だと思えるなら、最初の3か月は続けて様子を見ることをおすすめします。そのうえで、第4章の方法(用語のメモ、聞き方の型、週ごとの手応え)を試してください。

合わない構造なら、辞める前に試す

慣れではなく、仕事の中身や会社のやり方が、根本から合わないこともあります。聞いていた仕事と違う。どう頑張っても、自分が取り戻したかったものが手に入らない。

その場合も、辞める前に、社内で変えられないかを試してください。

試したうえで変わらなかった、という事実は、次の面接で説明の材料になります。 何も試さずに辞めた場合とは、受け取られ方がまったく違います。

それでも辞めると決めたら

試したうえで、それでも辞めると決めたなら、それはあなたの判断です。そのうえで、次で同じことを繰り返さないために、いくつか押さえておきます。

何がずれていたのかを、言葉にする

転職活動の進め方 第1章で、最初に「何を取り戻したいか」を決めることをお伝えしました。

今回、どこがずれていたのかを書き出してください。取り戻したかったものが手に入らなかったのか。それとも、取り戻したかったもの自体が、実際に働いてみたら違ったのか。

ここを言葉にしないまま次を探すと、同じ理由で、また辞めることになりがちです。

次は、在職中に探す

体調に問題がなければ、次が決まるまでは在職中に探すほうが安全です。収入が途切れず、焦らずに選べます。短い在籍のあとに空白の期間が続くと、面接での説明がさらに難しくなります。

短い在籍は、隠さずに説明する

在籍が短くても、職務経歴書から省かないでください(職務経歴書ガイド 第3章)。在籍期間は、雇用保険などの記録と照合されることがあります。

面接では、事実 → 判断 → これからの順で話します(面接ガイド 第2章)。

当サイトで取材した方のひとりは、新卒1年でアパレルを辞めています。その方が説明できたのは、辞める前に、大型店への異動を願い出て、断られていたからでした。何を考え、何を試して、何が起きたのか。それが説明できれば、短さそのものは決定的な問題になりません。

辞める前に試したことがある人は、短い在籍を説明できます。 だからこそ、上の「辞める前に試す」が効いてきます。

この章のまとめ

このガイドのまとめ

不安だったことと、うまくいくことは、両立します。移った先で、売場で身につけたものは、形を変えて残ります。