「新卒でアパレルなんて、もったいない」
周りから言われた方もいれば、自分でそう思いはじめた方もいると思います。せっかくの新卒なのに、と。
この記事は、新卒でアパレルに入って、1年目から数年目くらいの方に向けて書いています。もったいなかったのかどうか。辞めるなら、早く辞めるのはもったいないのか。
先に結論を書いておきます。入ったこと自体は、無駄になっていません。 ただ、「もったいない」と言われる理由にも、うなずけるところがあります。両方を並べて、どう考えればいいかを整理します。
「もったいない」と言われる理由
言われる理由は、たいてい次のようなものです。
- お給料の見通し。 頑張っても大きくは上がりにくい、と言われます。当サイトの店長の記事でも、昇格しても残業代が消えて手取りがほとんど変わらない計算を載せています
- 本社に上がる道の細さ。 当サイトで取材した、業界に残って管理職になった方の会社では、社員のおよそ9割が店舗でした。オフィスの枠は少なく、外から即戦力を採ることが多いそうです
- 働き方。 土日の出勤、立ち仕事、シフト。友人と休みが合わない
業界の内側からの、正直な声もあります。この管理職の方に、過去の自分に声をかけるとしたら何と言うかを伺ったとき、返ってきたのはこうでした。
学生の頃まで戻るんだったら、この業界には来ない方がいい
好きだけど
販売員時代も大変だったけれど、いまも同じくらい大変だ、と。好きなことと、その働き方を続けられるかは、別の問題だということです。
それでも、無駄にはなっていない
一方で、新卒でアパレルに入ったことが無駄になるかというと、そうではありません。
当サイトで取材した、新卒1年でアパレルを辞めて広告営業に移った方は、当時をこう振り返っています。
接客からの転職って、できることがめっちゃ制限される感覚が当時はあった
ところが、いまは違う見方をしています。
別に、アパレル時代に磨いたことで転用ができる要素はめっちゃ全然あるなって、今となっては思う
具体的に挙げていたのは、接客そのものと、数字の扱いでした。個人の目標を持ち、達成するために何をすればいいかを考えて動くこと。売場でくり返していた声かけの練習やセット販売の工夫も、いま思えば土台だったそうです。
電話をたくさんかける営業の仕事に移っても、接客をしていたぶん、ハードルが高くなかったとも話しています。
この方は、移ったあと年収がおよそ1.5倍になり、転職してよかったと話しています。販売の仕事が合っていなかったわけではありません。それでも、変えたことは正解だった、と。
売場で毎日やっていたことは、次の仕事で形を変えて残ります。 新卒で入った数年は、その土台を作った時間です。
新卒1年で辞めるのは、もったいないのか
ここがいちばん迷うところだと思います。
早すぎる転職には、リスクがある
正直に書いておきます。在籍が短いと、次の転職で「うちに来ても、また短く辞めるのではないか」と心配されます。 1回なら説明できますが、短い在籍が続くと、説明が難しくなります(異職種・異業界に移るとき 第5章)。
また、新卒1年ほどで動く場合、紹介される求人の数が限られることがあります。先ほどの方は、第二新卒の枠で、エージェントから紹介された求人が3社だけだったそうです。
それでも、短さそのものは決定的な問題ではない
その方は、受けた3社の中から、広告営業の仕事に移っています。短い在籍を説明できたのは、辞める前に、自分で動いていたからです。
入った会社の店舗では、SNSを投稿しているのは自分だけでした。それでも毎日投稿を続けた。大型店への異動を願い出た。けれど、こう断られています。
無理。今いなくなったら困るから無理
そのうえで、こう考えたそうです。
めっちゃ働きたかったんですけど、会社事情で異動させてもらえないってなったら、なんか時間無駄だなって思いました
短い期間に、何を考え、何を試して、何が起きたのか。 それが説明できれば、短さそのものは決定的な問題になりません。話し方は面接ガイド 第2章にまとめました。
「もったいない」で決めない
辞めるかどうかを、「もったいないかどうか」で決めると、たいてい決められません。どちらにも、もったいない面があるからです。
代わりに、何を取り戻したいのかで考えてください。休みなのか、お給料なのか、この先の見通しなのか。先ほどの方の場合は、意欲の行き場でした。もっと働きたかったのに、働かせてもらえなかった。辞めたい理由は「つらい」だけではありません。
考え方はアパレル販売員を辞めたいの第1節にあります。
若いうちに動くことの意味
年齢で線を引くつもりはありません。ただ、若いほど、未経験の仕事に移れる枠が開いているのは事実です(アパレルからの転職は、年齢で何が変わるのか)。
「もったいない」と迷っている時間も、時間です。辞めると決める必要はありませんが、選択肢を知っておくことは、いまからできます。
残ると決めた場合に、やっておくこと
業界に残る、いまの会社で続ける、と決めた方も、やっておくと後で効くことがあります。
- 数字を控えておく。 個人売上、達成率、客単価、店舗の規模。辞めてからでは取り寄せられません(職務経歴書ガイド 第2章)
- 自分から仕掛けた仕事をひとつ持つ。 SNS、売場づくり、新人への教え方。先ほどの方の場合、毎日のSNS投稿がのちの面接で話す材料になりました
- 社内で上がる道を確かめる。 過去に何人が店舗から本社へ移ったか。業界の中の道はアパレル業界の中で、販売員が次にできる仕事にまとめています
選択肢を知っていたら
最後に、先ほどの方が話していたことを置いておきます。
販売員になりたくて販売員になってる人って、めっちゃ少ない感覚があって
選択肢がないから販売をしている、本当は本社に行きたいけれど今は販売をしている。そういう人が多い、と。そして、こう続けました。
「もっと(選択肢が)あるよ」って言われてたら、そうなってなかった
新卒で入ったことが、もったいなかったのかどうか。それを決めるのは、周りの声ではなく、ここから何を選ぶかだと思います。そのためにまず、どんな選択肢があるのかを知ってください。
まとめ
- 「もったいない」と言われる理由には、お給料の見通し、本社の枠の少なさ、働き方がある
- それでも、新卒で入った数年は無駄になっていない。接客と数字の扱いは、次の仕事で形を変えて残る
- 新卒1年で辞めるリスクはある。短い在籍が続くと説明が難しくなり、紹介される求人が限られることもある
- ただし、辞める前に何を試したかが説明できれば、短さそのものは決定的な問題ではない
- 「もったいないか」ではなく、何を取り戻したいかで考える
- 残ると決めても、数字を控え、自分から仕掛けた仕事を持ち、社内の道を確かめておく
どんな選択肢があるのかを知るところからなら、適職診断が使えます。12問・3分で、あなたに近い仕事の方向が分かります。
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