ガイド / 異職種・異業界に移るとき

VOL.4 第3章 / 全5章

入社する前に、できること

内定が出てから入社するまでには、たいてい少し時間があります。退職の手続きや引き継ぎ、有給休暇の消化の期間です。

この間に、少しだけ先回りしておくと、入ってからが楽になります。ただし、全部をやる必要はありません。 入社してから教わることも多いので、ここに挙げるものから、できるものだけで十分です。

業界の基本を1冊入れる。読んでおく本は内定先に聞いていい。名刺交換、メール、電話のマナーに目を通す。表計算、メール、オンライン会議に触れておく。出社時刻に合わせて起き、通勤を試す。初日の流れ、服装、最初の担当を聞いておく。そして休む。全部ではなく、できるものだけ。

1. 業界の基本を、1冊だけ入れる

第1章で、移ったあとに手間がかかったのは業界の知識だったとお伝えしました。量が多いので、入社前に全部は入りません。入口を作っておくくらいのつもりで十分です。

副店長から人材業界の営業に移った方は、入社前に営業の本を数冊読んでいました。入門書と、内定先から勧められた本です。勧められた本は難しかったそうですが、渡されたときにこう言われたそうです。

理解できなくてもいいから一旦その頭に入れといて

分からなくても、聞いたことがある言葉が増えるだけで、入ってからの吸収が変わります。

いちばん確かな方法は、内定先に聞くことです。「入社前に読んでおくとよい本や資料はありますか」。聞かれて困る会社はありません。意欲が伝わる質問でもあります。

何を読めばいいか分からないときは

内定先に聞いても特に指定がなく、はじめての業界で何も分からない。そういうときの、当サイト運営者の個人的なおすすめは、技術評論社の「図解即戦力」シリーズです。

『図解即戦力 ◯◯業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』という形で、商社、鉄鋼、ソフトウェアなど、業界ごとに1冊ずつ出ています。業界の全体像、お金の流れ、主な会社、仕事の種類が、図を中心にまとまっています。知識がゼロの状態から入口を作るのに向いています。

移る先の業界の巻があるか、探してみてください。全部を理解しようとせず、目次と図をひととおり眺めるだけでも、入社してから出てくる言葉の聞こえ方が変わります。

商品より、「誰が何に困らなくなるのか」から

会社の商品やサービスを調べるときは、仕様より先に、それを使う人の困りごとから入ると頭に残ります。

機械の性能を覚えるのではなく、その機械を入れた工場で残業が減った、という話から覚える。人の困りごとなら、売場で毎日扱ってきた領域です。会社のサイトの「導入事例」や「お客様の声」のページが、ちょうどよい入口になります。

2. ビジネスマナーの基本に、目を通す

取材した方が入社後に学び直したと話していたのが、名刺交換とメールの書き方でした。売場では学ぶ機会がないところです。

本を1冊、あるいは動画をいくつか見ておけば十分です。

完璧に覚える必要はありません。 入社すれば、周りの人のやり方を見て覚えられます。「見たことがある」状態にしておくのが目的です。

3. 使う道具に、触れておく

パソコンを毎日使う仕事に移るなら、少しだけ触れておくと最初の数日が楽になります。

会社によって使うソフトは違います。内定先で何を使っているかを聞いておくと、触れておくものが絞れます。

4. 生活のリズムを、先に合わせる

見落とされがちですが、ここが効きます。

売場の遅番に慣れていると、毎朝決まった時間に出社する生活に体が追いつくまで時間がかかります。

5. 入社前に、聞いておく

分からないまま初日を迎えると、それだけで緊張が増えます。内定先や、エージェントを使っていれば担当者に、聞いておいて構いません。

最後のふたつは、面接の段階で聞いておくのがいちばんです(面接ガイド 第4章)。聞きそびれていたら、入社前に聞いて構いません。

6. 休むことも、準備のうち

退職前の引き継ぎで、疲れている方も多いと思います。

入社前の期間を、勉強で埋め尽くさないでください。 新しい職場の最初の数か月は、思っている以上に疲れます。休んで、体と気持ちを整えておくことも、立派な準備です。

上に挙げた1〜5のうち、ひとつかふたつで十分です。

この章のまとめ

次の章では、入社してから最初の3か月の過ごし方を扱います。